悩みのヒント 親と意見が合わない


 当り前のことですが、誰でも親と意見が合わないことはたくさんあります。そのために親との関係を悪くしてしまう場合もあります。身近な人との不和は多くの時間を不愉快に過ごすことになってしまいます。
 「親と意見が合わない」について、考えていこうと思います。

その1 親と意見が対立するのは当り前のこと
 現実問題として、親と意見が合わないことはたくさんある。
 進学・就職の選択について、仕事に関する考え方について、などは重大だ。
 恋愛や結婚についても多い。交際や結婚そのものについての親の反対、交際相手や結婚相手に対する親の反対。婿養子に関する問題もある。反対に、親の恋愛や再婚に対する子供の反対のケースもある。
 日常的なことでは、お金の使い方や使い途、遊びなどの行動や門限などの制限、友達との交際、ファッションなどで親と意見が合わないことは多い。
 成人すると独立の問題。結婚したら同居問題。老後の同居と世話の問題などもある。それとともに、財産(土地、家、金銭など)に関する問題も生じる。
 他人事なら、つまらない問題や醜い争いのように思われるかもしれないが、当事者たちはいたって真剣で、重大な問題だ。

 世代の違い、それぞれの価値観の違いなどにより、意見の対立があるのは当り前なことだが、意見の対立は感情の対立を生む。それが親子の関係を悪いものにする。
 そして、子供は次のような2つの思いの間で悩む。
・ 親の言うことを聞いてあげたい、困らせたくない、冷たくしたくない
・ 自分の考えどおりにしたい、理解してほしい、認めてほしい
 親の意見に頭から腹を立てている人も、心の底にはこのような思いの葛藤がある。だから腹が立つのだ。見ず知らずの人がどんな意見を言おうがそれほど気にはならない。

 意見対立そのものを無くそうとするのは無理だ。親の考えを変えることは容易なことではない。それが簡単にできるくらいなら悩みはしない。
 どうせそう簡単には無くすことができないのなら、うまい意見対立のしかたを考えたほうがいい。

その2 うまい意見対立のしかた
 ここでは、考え方と方法を提案します。
考え方1.すぐに意見対立を無くさなければならないとあせらない。
 時間がかかること、互いに相手の意見を認めることができないこともある。
   それはしかたがないこと、当り前のことと知る。
   そのことを考えすぎない。悪い想像が親に対する悪感情を育てる。
 そのことで、悩んだり、怒ったりしないように心がけること。
   自分の心の平和を保つことが大事。
考え方2.1つの意見対立がすべてではない
 親との関係を1つの意見対立のために台無しにしない。
   意見が違うこともあるけれど、それなりにつきあっていける。
     意見対立や問題がまったくないように振舞うのがいいことではない。
 生活の中で意見対立の問題について考えすぎない。
   今の生活のその時々を大切にする。
   問題があるからと、やるべきことをやらない理由にしない。
   問題がある時ほど、気分転換のためにも楽しいことをするようにする。

方法1.感情的なぶつかりを避ける工夫
 その話題になって、自分の感情が激してきたら、その場を離れる。
   それができなければ黙る。
 その話題以外の時には、ふつうの応対を心がける。
   冷たい戦争の後に、たまったエネルギーが爆発する。
   ごくふつうのあいさつや会話が互いの感情を緩和する。
 無用な議論をしない。同じことの繰り返しをしない。
 緊急でないことは、結論を急がない。
   自分の希望はあるが、最終的な決断はまだ後でいい。
   頭から決めつけて話をしたら、親を怒らせるだけ。
   親に「もう少し考えさせて」や「もう少し考えよう」のように提案する。
   親の説得をあきらめて、無視したら、冷たい戦争になってしまう。
方法2.親の話を聞く機会をつくる
 自分の心の中で今回はとにかく話を聞いてみようと決める。
   相手にあらたまって言う必要はない。言ってもいい。
 とにかく親の意見を黙って聞く。その場でいちいち反論しない。
 なぜそう考えるか、などの理由を聞くために質問をしてみる。
   親が自分でもわかっていないことがあるかもしれない。
 親の言うことの中から、もっともなことを探し、その部分だけを同意する。
   「○○はそのとおりだと思う」
   親は子供のためだと思って考えている、ことを忘れない。
     それが、本当か、いいか悪いか、はまた別。
       親は必ずしも、立派でも正しくもない。
     「私のことを思ってくれているのはありがたいと思っている」
 「もう少し考えさせて」と言って、その話題を打ち切る。
方法3.自分の気持ちを伝える機会をつくる
 折り入って真剣に話す。
   事前に折り入って話を聞いてほしいと伝えておく。
 自分はこうしたいと思っている。
   強い動機を親に伝える。
 こうなれたらいいな、ということを表現する。
   うまくいったときのいいイメージを親に与える。
   うまくいけば自信ももてるし、自分が成長できると思う。
 自分はそのために努力することを誓う。
   自分が頑張ればきっとできると思う。
   このようなこと、方法を考えている。
 親が失敗や挫折を恐れている場合には、覚悟を伝える。
   たとえ失敗しても後悔しない。
     やらなかったことを後悔したくない。
   失敗や挫折も人生の中ではいい経験だと思っている。
     そこから何かを学んで、大きな人間になりたい。
   失敗してもそれは自分の責任だから、自分の人生だから。
 親に感謝の気持ちを伝える。
   自分のためを考えてくれているのだと思い、感謝している。
   今まで育ててくれたこと、今も世話になっていることに、感謝している。
 お願いする。
   「でも、自分はどうしてもこうしたい」
   「お願いです。(やらせてください)」
   親の反論に対して、議論で対抗しない。
     上の2つの言葉を中心に押しとおす。
     上記の内容だけを繰り返し、お願いをする。
       やりたい、頑張る、自分の責任、感謝している、お願いします。
 この方法の説明は、自分の問題に親が反対している状況に片寄ってしまいましたが、このような方法で、自分の気持ちを真剣に伝えるということを考えてみてください。もし、直接話すのが難しいと思うのなら、真剣な手紙を書いて渡す方法もある。
 議論より、熱意を伝え、お願いすることが大切だと思う。

その3 結論を出すとき
 いつかは結論を出さなければならないこともあります。
 その際に考慮することを挙げてみます。
1.誰の問題か
 自分の問題なら、自分で決めるのが当然です。しかし、実際には親が決定権を持っている場合もあります。その場合には、親を説得するしかありません。しかし、自分の問題であるということは大きな説得材料です。
 親の問題である場合には、意見や要望は言えても、決定権はありません。親の考え方ややることを変えることはできないことを知らなくてはなりません。
 自分の問題でも、親の問題でも、その本人の幸せを考えるということが大事だと思います。
2.決定に際して
 自分の問題の場合には、頭から自分の希望を通すことだけを考えずに、もう一度考え直してみましょう。冷静になって考えてみましょう。
 親の言うことにも理がないか?親に対する反抗心から意地をはっていないか?小さい問題なら、譲ってもいいのではないか?結論をまだ出さなくても、意見対立のままでもいいのではないか?
 しかし、親の意見に反して、自分の意見を通すと決めるのをためらうことはありません。親不孝などと自分を責めることはありません。親孝行のチャンスも方法もこれからたくさんあります。まずは自分が幸せに暮らすことが、1つの親孝行と思って、自分の人生を決断しましょう。
3.結論を伝える
 結論を伝える必要があるかないかも考えてみてください。
 そして、結論を親に伝える必要があると判断した時には、伝え方にも気を使いましょう。
 自分の意見を通すのなら、はっきりとその旨を伝えましょう。
 親に対して「ノー」と言うことを恐れることはありません。しかし、親に対してタンカや捨てゼリフのような言い方も考えものです。「自分の問題だから自分のやりたいようにやらしてください。(親の意向にそえずに)申し訳ありません」のような言い方をすれば、親もしょうがないと思うのではないでしょうか。
 ヘタな言い方をして、後に禍根を残すようなことだけは避けたいものです。

 親子でも意見の対立することはたくさんあります。それぞれに自分の人生を歩いているのです。自分の幸せを大事にしていいと思います。ただし、相手の幸せを願い、相手を幸せにすることも自分の幸せの1つとして、選択してもいいのです。自分はこうしたいが、親の気持ちを思って、親に従うこともあっていいと思います。
 自分の人生です。自分が幸せになるように生きましょう。ただし、親の幸せを願うことを心のどこかに残しておきましょう。親に反した結論を出した後にも、自分が幸せに暮らすことが、最終的には親も望んでいることです。

   

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