親の悪癖・悪行
親の悪癖や悪行で悩む子供は多い。そのために家庭内が不和になり、つまらなく安らげない場所になってしまう。
「親の悪癖・悪行」について考えてみます。
その1 どのようなことがあるか
いつの時代にも多いのが、飲酒・ギャンブル・浮気の3つです。以前は父親の専売特許のようでしたが、最近では母親の場合も増えてきています。飲酒の場合、暴力に結びついたり、仕事や生活に支障をきたすことにもなります。ギャンブルは家庭に経済的なダメージを与えます。浮気は両親の決定的な不和を引き起こします。家庭崩壊のうちの多くはこの3つによるものです。
短気・わがまま・だらしないなどの親の性格から、頻繁に行なわれるイヤな行為に悩む子供もいます。短気な親による暴力や暴言、絶えない夫婦ゲンカなどに子供はつらい思いをします。
母親に多いのが、人の悪口や愚痴を言うクセです。自分のことを言われなくても、それをしょっちゅう聞かされる子供は、うんざりしてしまいます。
怠けグセや浪費グセのある親にも困ったものです。
このような親の悪癖や悪行によって、子供はつらい思いをし、親を嫌いになったり、恐れたり、反発したり、憎んだりします。そして、これらのほとんどの場合は、長年に渡って継続的に行なわれ、子供を苦しめ続けます。ましてや、子供である自分にはどうにもならないことが多く、途方にくれてしまいます。
親に変わってほしい、もう一方の親を助けたい、こんな家庭から抜け出したいなどの願いを持ちます。
その2 親を変えることはできるか?
「できない」と言ってしまえば、それまでだ。事実できないことは多いし、できるとしてもそう簡単なことではない。しかし、場合によっては親を変えることができるかもしれない。やるだけやってダメなら、それで気がすむし、あきらめもつくのではないか。
ここでは、親を変える努力について考えてみます。それをするかしないかは自分で決めてください。一生懸命に考えて自分で決めたんなら、どちらでもいいと思います。
1.自分の気持ちを伝える
親に対して自分の気持ちをきちんと伝えていない人は、まず伝えよう。
親のこういうところに対して、自分はどんな思いをしているか、できればどうしてほしいか、を伝えよう。くどくどと言わずに、真剣に冷静に伝えよう。
それで、一旦時間を置く。親に考える時間を与えよう。そして、親の様子を見守ろう。もしかすると、親は素直に変えようとするか、親の考えを話してくれるかもしれない。
2.親の意見を聞く
もし自分の気持ちを伝えても親が何も変わらなければ、次には親の気持ちを聞いてみよう。
まずは、どうしてそういうことをするのか聞いてみよう。たぶん親は、はっきりした理由はわからないと言うか、誰かや何かのせいにするだろう。それはそれでいい。黙って聞こう。
次に、親が自分で直そうとする意志があるか聞いてみよう。もし、その意志がないようなら、あきらめよう。本人に直す気がないのに変わるわけがない。もし、親に変えたいという意志があるのなら、「ありがとう」と言い、協力を約束しよう。
3.サポートしながら親の変化を見守る
すぐに完全に直ることは期待しないで、徐々に直ることを期待しよう。
親の話し相手、相談相手になろう。命令者でも監視者でもない。
少しでもよくなったり、頻度が減ったら、それを口にしよう。
一時的に悪くなっても責めない。今までの努力をほめ、大丈夫と言う。
暖かく見守ってくれることほど、心強いものはありません。
ずいぶんと甘いことを書いてしまったかもしれません。でも、もし親と1つの目標に向かって協力し合えたとしたら、それだけで親との関係はよくなるでしょう。
ここで書いたようなことができるようになったら、自分は相当に成長したと言えるだろう。
現実の問題は様々だし、親子の関係も、親と自分の性格もずいぶんと違うことでしょう。ここに書いてあることを参考にさらに自分で考えて、どうするかを決めてください。
その3 親の悪癖・悪行への対処法
1.基本的には親の問題、という考え方
親の悪癖や悪行は基本的には本人(もしくは両親)の問題です。自分がいくら悩んでも、親が改めようとしない限り、変わりようがありません。その2で書いたような親が自ら変わろうとするのを支援するか、黙って現実の親を受け入れ、親からの被害をなんとか回避しつつ、自分が生きることに重点を置き、幸せに暮らせるように努力するしかありません。
2.被害を回避する
直接の身体的・精神的被害について。親からの自分に対する暴力や暴言は、自らその引金をひかないように気をつける。もし、親がそういう状態になったら、刺激しないようにうまく身をかわすことを考える。そして、思い出す。「これは親の問題だ」
精神的被害について。親のイヤな部分を見ても、自分に精神的な被害を与えてはいけない。「親も1人の未熟な人間。こういう人もいる。これは親の問題だ」
経済的な被害について。
親に経済的な庇護を受けている間は、ある程度被害を受けることもしょうがない。少なくとももう一方の親とはうまくつき合うこと。そうでなければ、我慢するか、自分で稼ぐしかない。
自分が働いている場合には、必要以上に経済的に親を助ける必要はない。親の借金は、(保証人にならない限り)子供が支払う必要は法律的にない。「これは親の問題だ」
3.自分の人生を主に生きる
親に悪癖や悪行があっても、それはあくまでも親の問題であって、自分ではどうしようもないことが多い。こういう親もいることを受け入れ、自分は(自分の環境の中で)自分の生き方をするしかない。親のことで悩むヒマがあったら、自分のやりたいことを考え、そのために努力したほうがいい。そのためには、親と適当にうまくつき合うことも大事だ。
どんな悪癖や悪行がある親でも、自分が生まれ育ってくるためには、大きな貢献があることを思い出してみよう。また、もう一方の親を支援する必要がある場合も多い。
親とうまくつき合っていくために重要なのは、自分が人間として成長することだと思う。