悩みのヒント 実家とのつきあい


 実家とのつきあい方が夫婦の問題になってしまうことがあります。相手が自分の実家ばかりを大切にする、自分の実家や自分達の家庭をもっと大切にしてほしいというような不満です。反対に、自分が親孝行をしたいのに相手が反対する・協力してくれないと不満をもつ人もいます。具体的には、実家への訪問・仕送り・贈り物などに対する不満です。

 「親孝行はいいこと、でもそれにも限度がある」ということなのだと思います。
 親孝行はいいことです。親子仲がいいのも微笑ましいことです。それを自分のわがままや嫉妬心から反対するのはどうかと思います。まずその点を一度反省してみたほうがいいと思います。もしかしたら、自分の度量が少し小さいのかもしれません。
 でも、親孝行にも限度があります。自分達の家庭をないがしろにするようでは問題です。親子仲がいいと言ってもマザコンや共依存のような親離れ・子離れができていない関係を夫婦である相手が望まないのも当然です。それらを改めてほしいと思う気もちはよくわかります。

 とりあえずは、「こうしてほしい」とうまくお願いしてみることだと思います。
 お願いを続けても相手が応じてくれない場合には、よく話し合う必要があるでしょう。自分達の家庭・家族の大切さを再認識してもらえれば、少しは変わるのではないでしょうか。

 と言っても、相手が変わることは少ないのではないでしょうか。親子の関係は長い年月をかけてつくられています。
 もっとも、結婚したら親のことはほったらかしで、結婚相手や自分の家庭中心になる人も今は多いと思いますが。そういう相手ならこの問題のような悩みはなくてすむわけです。寂しい思いをするのは親のほうなのでしょう。

 相手がなかなか変わらない場合には、どうしたらいいでしょうか?
 相手の考え・行動が変わらないことには、自分の考え方を変えて不満を軽くできたら、と思います。1つには、「親孝行はいいこと」とやさしい気もちで相手を見ることができたらいいのですが。もう1つは、相手の「ここはしかたがない(いい所もいっぱいある)」と半分あきらめることです。ある程度は目をつぶり、文句は言わずに温かく接していい関係を保つことも大事です。
 自分の行動は自分で決めていいと思います。すべてを相手に合わせて相手の実家に尽くしてばかりでは、自分の生活がつらくなり愉しめなくなってしまいます。やれること・やってもいい思うことは喜んでやる(もしくは、「一時の事」と考えてやる)、どうしてもやりたいくないこと・やれない事情がある時にはことわることも必要です。ことわるためには勇気も必要だし、若干の不和も覚悟しなければなりません。ことわり方もうまく工夫したほうがいいでしょう。
 また、相手が自分の実家のことを気にかけてくれないと不満があるのなら、なおさら自分が自分の実家のことを気にかければいいのではないでしょうか。そういう役割分担と考えられれば、不満でイライラしなくてもすむのではないでしょうか。

 この問題は、自分の許容の限度の問題という気もします。
 「相手の親孝行」もしくは「このくらいはしかたがない」と考えて、相手の行動をどこまで許容できるか。「このくらいは喜んでやる」「ちょっと気が重いがこの程度はやったほうがいい」などと、自分の行動をどこまで許容できるか。許容の限度によって、問題になったりならなかったりします。許容度が小さい人にとっては、耐えられずに離婚しか考えられないのかもしれません。
 自分の許容力を高めることはやさしいことではありませんが、そういう努力するというのもこの問題への対処法の1つです。「人はハオハオ、自分もハオハオ」という考え方を身につけることをおすすめしたいと思います。
 許容力を高めた上で、自分のライフスタイルや家族観や人生観に従って、自分なりのパートナーとその家族とのつきあい方を選択できたらと思います。

   

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